自由意思は本能の後付けに過ぎない

我々は店舗における商品の選択や、未来の行動選択において、嗜好や効用などの理由づけを行って何かを選択している。しかし、fMRIを用いた最近の脳科学研究によれば、人は何かを選択する7秒前に、脳の行動選択による部位が活動しているそうだ。

例えるなら自動販売機にてコーラを購入した場合、ボタンを押そうと"思った時点"で既に脳内で意思決定は完了しており、「炭酸が飲みたい」「ゼロカロリーだから」といった選択理由が後付けで処理されるというのだ。

これが事実であれば、我々の普段の消費行動においては、事前に見たTVCMやパッケージデザインなどが重要となるのかもしれない(商品レビューや、口コミ情報も本能選択の要因かもしれないが)。さらに、就職活動における面接においても、見た目や声などの第一印象で本能的に判断されるのかもしれない。

これは、人間が言語や思想を習得する以前には、危険を察知するためには余分な思考をしてる暇はなく、脊髄反射的に行動する必要があっとことの名残かもしれない。ご存知の通り、脳は「爬虫類脳」「哺乳類脳」「人間脳」の3層構造をしており、進化の過程においてより複雑な機能を獲得してきた。そして、人類が言語や文字を使い始めたのは比較的最近の出来事であり、我々の意識が知覚されるのには5万個の神経細胞が活動する必要があるという説もある。

このように、人間の認知や意識については未知数であり、自由意志と呼べるものは本能の後付けかもしれないのだ。


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